2017年10月13日金曜日

ポートレイト

今年は年初からヨガを始めました。今、バイトでオフィス仕事ばっかりやってるので、運動不足解消とずっとやってる瞑想の役に立てばと思い。出会った先生がとても相性がよいみたいで、月に3回ほどですが、その時に必要なものを自然ともらっている感触です。一連のポーズを教えてもらったので、ほぼ毎朝やっていて、姿勢もよくなるし体調もすこぶるよく、瞑想もこれまでどうしても越えられなかったところを難なく越えるような感覚で、最高に役立っています。筋肉が増えて体の安定感が増してるのに、体重が減っているのが謎ではありますが。

物事を自分の眼で見て、自分の手で絵を描く以上、身体感覚というものはどうしても作品制作に必要です。その感覚が更新されることで、絵も変化するということはこれまでも経験していました。今年はヨガのせいか、その変化があまりに劇的だったので、年の前半はほとんどドローイングに終始していましたが、徐々に体のバランス感覚が養われる中で、意識の中でも中庸(≒とてもよくバランスの取れた状態)に入り込み、そこからイメージをつかみ取るような感覚がありました。

要約すると、体ととても仲良くなれたおかげで、意識も更新され、絵も変わってきたということです。

しばらく描いてなかったポートレイト作品に取り組み始めたのが、初夏頃。体≒物質の取り扱いについて、手ごたえを感じました。

ところで「何を描いているんですか」という質問、いろんな人から繰り返し受けています。その度にその局面での話しかできませんが、今のポートレイト作品について言えば何を感じてほしいとか、何を表しているということをなるべく限定しないことを心掛けていると思います。無理なんですが。ひとまずその指向性を持って作っているということです。

何かを見て、これは楽しいものですとかここで喜んでください、ここで泣いてください踊ってくださいという表現には私自身が踊れなくなっています。行動を限定されることは、たとえ気持ちいいだろうと分かっていても、とても窮屈な感じがするのです。むしろ、そのたたずまいや情景について自分がどういう感情・現実感覚を持つのか。その自由で限定されない雰囲気を味わうことが、私にとって美術の大切な機能です。巨木のたたずまいや、訪れる人のいない建物や場所、良質なインスタレーションの中で過ごす時間。ひそやかで、どっしりとした確かな感覚を受け取る度に、かくありたいと思って人を描いています。

また、陰陽・ネガポジ・美醜の中で、バランスを取りその精度を上げること。物事はどこまでいってもそこに中心が存在し、際限のない中心性を持っています。それを絵で表したい。右と左の間に点を打った瞬間に、点の中に右と左ができる。そしてその間も生まれる。その中でひたすら遊ぶことが、絵を描くことと言えるかもしれません。とても抽象的な話ですが。

そういった身体的・物質的な感覚を絵を通して、表現したいと思っています。私自身は表現主義者だと思っていますが、表現主義とは(今の人の)社会の中で明確にされていない、置き場所を与えられていない感覚や感情を作品として抽出して、置いて見せるような機能があると考えています。そういうものがあるのだとただ示していること。それが役立つ、役立たないというのは、各々がとらえればよい話です。その機能のために我々人間の顔を使うというのは、とてもストレートな表現ではないでしょうか。


http://iximakuniyosi.blogspot.jp/2017/10/blog-post_77.html

2017年9月28日木曜日

目地


http://iximakuniyosi.blogspot.jp/2017/09/blog-post.html

人間を描き続けていると、その人間のいる場、風景を描きたいという欲が出てきます。場のもつ雰囲気というものを捉え、物質を描くというよりは雰囲気、空気感というものを描きたいと思うのです。

空間表現というのは絵画という表現の得意とする、魅力的な方法だと思います。空間という意識が長い間私には分からなかったので、風景を描くことができなかったのですが、近頃になって理解できるようになってきました。平面はどこまで描いても平面にすぎないわけですが、一種の錯覚を用いてなのか、それとも記憶に訴えかけるのか、もっと別の作用なのか判然としませんが、画面内に奥行きを描くことができます。日本の仏教的に言えば、無や空といったものですら、描くことができるというのが近頃の体感です。

私たちはネガティブな作用で、ある本質をつかめると感じています。物質を通して、その物質の無い"無"を感じることができる。不安を通して、不安のない幸福を感じることができ、混乱を通して秩序を感じることができる。そのかかわりはまさに陰と陽であって、狭い料簡を取っ払ってしまえば、ただその変化があるだけです。

この絵に限って言えば、どうやって描けるだろうと考え続けた結果、タイルの目地のリズムを描けばいいと思いました。

2017年9月20日水曜日

職場に座る

sarasa design lab Fukuokaでの展示は無事、終了しました。
お越しいただいた方々、ありがとうございました。

昨年のヤマキファインアートでの個展以降、いろいろな絵を同時並行で描いていました。
相当数の作品制作を行う予定だったことに加えて、なかなか作品を終わらせることができずにいました。
それは、特に悪い感覚ではなく私自身がとても早い変化の中にいたせいで、描くこと、積み上げていく作業、変化させる作業といったものが毎日移り変わっていて、それに抗う気持ちがなかったためです。
なので、たくさんの作品が終わりを迎えないまま、アトリエに積みあがっていきました。

今回、ふたつの展示の話をいただいたタイミングもあり、変化の中でみつけたものをはっきりと描くことにしました。
私にとっても未知の作業となり、とても刺激的でしたが、その作業の中ではっきりと終わりが見えたのは得難い経験となりました。
複数の作品が同時に出来上がっていく様は、興奮をおぼえるほど。

描いてきたシリーズごとに、作品をサイトにアップしていこうと思います。
ちまちまと作品について言葉で表すことで、私自身の整理もかねて。

今日は去年から取り組んでいる、身近な人物のポートレイトを2作品公開します。


http://iximakuniyosi.blogspot.jp/2017/09/2.html


http://iximakuniyosi.blogspot.jp/2017/09/3.html

同一人物の同一構図を描いた作品です。
異なった感覚の中で描いているので、それぞれまったく違う指向性を持つことになりました。
ひざ上から斜めを向いた西洋的な人物の肖像画の構図ですが、描き方は平坦な塗と線的な仕事を重ねたもので、これは東洋的な描き方だと思っています。
相互の文化がぶつかるところが、私の生きている文化です。

2017年8月24日木曜日

sarasa design labと八万湯の展示

ずいぶん久しぶりの投稿です。不特定多数の人に向かって何か言葉を投げるというのが、より苦手になってきました。

9月に福岡で展示がふたつあります。

まず、福岡市薬院の雑貨屋「sarasa design lab fukuoka」で個展を行います。
ポートレイトの作品を中心に、新作を展示予定です。
福岡で個展を行うのは2015年以来なので、とても久しぶりな気がします。
雑貨屋さんとあってギャラリーとは違う環境で、どう見えるのか、どのような出会いになるのか楽しみです。

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2017/9/6(水)-9/18(月)

sarasa design lab fukuoka

月曜日-土曜日 11:00-19:00
日曜日 8:00-17:00
定休日 火曜日

福岡市中央区薬院1-16-17 2F
092-707-0171

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また、北九州市八幡東区の八万湯というスペースでグループ展に参加します。
こちらは銭湯跡をそのまま展示やイベントスペースにしているところで、やはり新作を展示予定です。
グループ展のテーマはずばり「図と地」。
美術界隈では使い古されたテーマではありますが、日頃制作の時に考えていたことから、かなりぴんと来ました。

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2017/9/16,17,18,23,24,30,10/1

10:00-18:00

八万湯
北九州市八幡東区祇園1-12-14
hachimanyu@gmail.com

http://hachimanyu.web.fc2.com

2016年8月26日金曜日

生島国宜展 ギャラリーヤマキファインアート

『美の鼓動・九州』展と同日9月10日から、神戸のギャラリーヤマキファインアートにて生島の個展を開催します。


この2,3年ほどは"一気呵成に描く"ということが大変重要でした。
いや、ライブペインティングを始めた時(10年近く前)から、自分の認識より体験が先立つことで、自分を超えていくという作業目的を目指していたように思います。
この経験は得難いものを私にもたらしましたし、今もって認識を超えるという仕事の仕方は変わっていない気もします。

一方で"絵の拠り所"が変わってきたように思います。
単純に描く対象、モチーフの変化ということでもいいのですが。

認識を超える感覚のうち、ライブ的な躍動感を持った精神状態を狂気と形容した時に、それとはまた違うとても静かでどっしりとした精神状態があると思います。
明鏡止水の精神と例えましょうか。
そういう状態で絵に向かうことが出来るようになり(本当はそういう状態は常にあったのですが)、今までの絵のモチーフを"弱い"と感じるようになりました。
自分の中の根拠として、弱い。
私が明鏡止水でありながら筋を通すために絵に向かうためには、その静かな精神状態にほど近い日常の感覚を絵にしなければという思いが湧いてきました。
日常を絵に、というのはこれまた昔から持っている感覚で、では日常とは~という話は今は置いておきます。

日常のバイト暮らし、友人関係、そういったものを自分の思い込みなしに描けたら、それだけでこれは美しいだろうという思いがあり、まず取り組んだのが前エントリの『座って描かれる』であり、次に描いたのが今回の個展のDMにもなっている『アーバンライフ』です。
友人と、通勤路を描いただけの絵です。

前回ヤマキさんのところで行った個展では時間的な制約もあり、"一気呵成"にポートレイトに絞って作品を制作しましたが、今回は一年かけて作品の根拠、表し方、その向かう先までを様々なモチーフと描き方で試しました。
特別ではないものを特別ではない作り方で作り、それが美しいというものが素晴らしいと思うんですよ。
そういったものに、近づいたと思っています。

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『生島国宜展』

2016.9.10(sat) - 10.8(sat)
11:00 - 13:00  14:00 - 19:00
日月休廊

ギャラリーヤマキファインアート
神戸市中央区元町通3-9-5-2F
+81(78)391-1666
www.gyfa.co.jp

美の鼓動・九州 クリエイター・アーカイブ

九州産業大学美術館で行われる『美の鼓動・九州 クリエイター・アーカイブ』というグループ展に参加します。
九州のクリエイター応援番組『美の鼓動・九州』というものがあり、その番組に出演した作家さんたちによるグループ展です。

いつぞやブログでも紹介させていただきました。
http://i-art-f.blogspot.jp/2015/10/blog-post.html

個人的には斎藤秀三郎さん、山部善次郎さんとご一緒できるのが大変光栄。
この年齢層とジャンルの広さは、あまり体験したことのない展覧会でございます。

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私は去年末くらいから、半年以上取り組んでいた『座って描かれる』という作品を1点出展します。
この作品、しばらく福岡で展示される機会はないと思いますので、特に薬院界隈の皆様どうぞよろしくお願い致します。



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『美の鼓動・九州 クリエイター・アーカイブ』

2016.9.10(sat) - 10.23(sun)
10:00 - 17:00(入場は16:30まで)

月曜日休館
入館料 一般200円 大学生100円 高校生以下および65歳以上無料

九州産業大学美術館
福岡市東区松香台2丁目3-1

092-673-5757
ksumuseum@ip.kyusan-u.ac.jp
http://www.kyusan-u.ac/ksumuseum/

2016年5月9日月曜日

アートフェア東京2016

御無沙汰しております。

久しぶりにレギュラーのバイトをフルタイム週5でやるなどの暮らしをしており、何というか本当に自分はだらしない性格なので、人様から何時に起きろと言われる今はこのリズムがありがたいという状況。

とは言えこの数年、ほぼ自分だけのタイミングで送ってきた作家生活というのは、自分を含む世の中からはずれ、自分を含む世の中を見直すものでした。
自分とか世の中みたいなものが、結局自分の中にしかないわけで。

今は生活のすべてが絵に向かう、絵を描くための楽しみ、リアリティ、筋の通し方といったものを毎日確認する作業と申しますか。
絵を描く実作業はいよいよ短時間になりつつありますが、効率はあまり変わらないのと、精度という点ではあがってきてるような気がします。
今のバイトをしてなければ絶対に関わることのない人たちと、関わっていくのも非常に刺激的。

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今年も『アートフェア東京』に、神戸のギャラリーヤマキファインアートのブースで作品を出展することになりました。
昨年新作を作った『大津事件』のシリーズを引き続き。
近頃、大津事件の参考に読んだ森まゆみ著『彰義隊遺聞』がスリリングで実によかったですが、日本近代研究はなかなか進みません。

今年はそのギャラリーヤマキファインアートで9月から個展をひかえているので、目下あれこれ制作中です。
もうちょっと日常的なモチーフを扱えそうだなという感じがしています。
自分の暮らしている日常を輝かしいものにできなくて、何のアートだと常々思います。
実際にそういうモノがフリマやら古本屋やらにあるので、自分がそういったモノに得る感覚をどれだけ絵にできるだろうと思います。
そして言葉の強さというものにガンとくらうことしばしばであり、絵で表したいなぁと思っています。
地道に。


今回アートフェアの会場にはおりませんが、どうぞ作品だけでもご堪能いただければと。


http://iximakuniyosi.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html



http://iximakuniyosi.blogspot.jp/2016/05/blog-post_9.html